C87にて配布したペーパーに載せたSSです

嶺二先輩とマッサージ

偶然重なった休日、嶺二先輩のお部屋にお邪魔しています。
一緒にご飯を食べてからちょっとだけ仕事の打ち合わせをしたり、まったりと二人だけの時間を満喫していたのですが。
「なーんか最近、体中がバッキバキでね」
そんな一言から、恐れ多くも嶺二先輩にマッサージをさせていただくことになりましたっ。

ベッドの上にうつ伏せになった先輩の腰に手を乗せ、ゆっくりと体重をかける。
「この辺りはどうですか?」
痛かったら教えてください、と添えて尋ねると、先輩は顔だけで振り向き、にっこりと笑ってくれました。
「んっ……そこ、すっごくいい感じっ」
凝り固まった筋肉をほぐすように、先輩の背中を押したり揉んだりしていく。
ところがマッサージをするうちに先輩の唇からは色っぽい吐息が漏れ、
聞いているだけでも恥ずかしくなっちゃうその声に手を止めそうになってしまいました。
(今は普通にマッサージをしているだけだから、平常心を保たなきゃ)
変なことは考えないようにしたのですが、耳をふさぐことが出来ない今の状況で、先輩の吐息にどうしても思い出すのは――
直接触れ合った温もりを思い出しかけた時、先輩に顔を覗きこまれて顔が熱くなる。
「春歌ちゃん、顔赤いけど大丈夫?」
「うっ、なんでもないです。大丈夫です!」
先輩のきらきらした瞳がわたしを射抜き、ぱっと顔を逸らそうとすると頬を両手で挟まれちゃった。
「なんで顔そらすの?」
「いえ、あの……」
特に理由はありません、と言ってもなかなか先輩はわたしの頬から手を離してくれません。
うう、あんまり見つめられちゃうと、もっと顔が熱くなります……!
「あはは、顔真っ赤だね。まあ、ぼくが赤くさせたんだけど」
先輩はからかうように笑いわたしに顔を近づける。キスの予感に反射的に目を瞑ると、口元ではなく目尻に先輩の唇が触れた。
小さなリップ音の後におずおずと目を開けると、
「ここにキスしてほしかった?」
先輩がわたしの唇を指でなぞってきました。
「っ……!」
急に触れられてびっくりして固まるわたしに、再び先輩の顔が近づく。
そして今度は、ちゃんと唇にキスが落ちてきた。
唇を柔く噛まれながらその場に押し倒され、何度も唇を重ねて。
それからは先輩と二人で甘い時間を過ごしたのでした。